米国高配当ETF『HDV』
(2022年10月版)
①『HDV』は「VYM」に勝負を挑むため、クセを作ったETF
②『HDV』の投資方法 → 暴落時の一括購入
こんにちは!タクドラたみです♪
今回は、米国の代表的な高配当ETFの『HDV』を、このETFの本質的理解を追求しながら、最新のデータをもとに、紹介していきます。
当記事は、8月に更新したものを、相当アップデートしたので、より『HDV』について、理解が深まると思います。
打倒!『VYM』 (この記事のポイント①)
『HDV』は、2011年に、世界三大資産運用会社の中でも、最大規模の「ブラックロック社」により組成された高配当株ETFですが、
ライバルであり、同じく世界三大資産運用会社の「バンガード社」によって、2006年、組成された『VYM』を、完全に意識し、
言わば、王者「ブラックロック」が、彗星「バンガード」に対し『HDV』でもって、『VYM』に勝負を挑んだETFと、私は、理解しています。
(彗星!とかは、あくまでも、私のイメージです)
『HDV』が『VYM』に、勝負を挑んだ、具体的な差別化は、
① 構成銘柄を厳選し、ETFの採用基準に「債務健全性」を考慮した。
② より高配当を目指すため『VYM』の「市場価値荷重平均」ではなく「支払配当総額荷重平均」を取り入れた。
この2点です。
『VYM』の「市場価値荷重平均」は、大きい企業ほど、高い比率でETFに組み入れる手法。
『HDV』の「支払配当総額荷重平均」は、多くの配当金を出している企業ほど、高い比率でETFに組み入れる手法。
- 打倒!『VYM』 (この記事のポイント①)
- 『HDV』の概要
- 『HDV』の組成手段
- 上位組み入れ10銘柄
- セクター別構成比率
- トータル・リターン
- 分配金(配当)利回り
- 株価推移(VYM・SPYD・S&P500との比較)
- 配当金・利回り推移
- 『HDV』の購入方法
- 『HDV』のメリット・デメリット
- まとめ
- 最後に
『HDV』の概要
『iShares Core High Dividend ETF』
日本語訳:「iシェアーズ・高配当株式ETF」
※「iシェアーズ」は、ブラックロック社のETF(上場投資信託)のブランド名です。
『HDV』概要の要点
『ブラックロック』・・・世界最大の資産運用会社。
「バンガード」「ステートストリート」を加え、世界3大資産運用会社と言われています。
「経費率0.08%」は、100万円の投資で、年間、たったの800円。
経費率2%や3%の投資信託がゴロゴロしているので、この経費率は激安です。
因みに、経費率2%の投資信託なら、100万円投資すると、毎年20,000円(泣)。
『HDV』の組成手段
そもそも『HDV』は「打倒!VYM」なので、簡単に「VYM」の組成手段の確認をします。
「VYM」の組成手段
『HDV』の組成手段(この記事のポイント②)
①全米株式(約4,000社以上)の中から、
②リート(不動産)と、無配銘柄を除外し、
(ここまでは「VYM」とほぼ同じ)
③財務健全性の低い銘柄を除外し、
④その中から、配当率の高い銘柄を、上から75銘柄を選び、
⑤支払配当額の比率で構成した、高配当ETF。
(⑤が『HDV』にクセがある理由)
【「VYM」と『HDV』の組成手段からわかること】
・「VYM」と『HDV』の組成手段は、リートと無配株を除くという、根本の部分は同じ。
・「VYM」が、市場価値平均型を採用しているのは「より大きな企業ほど、より多くのリターンをもたらすだろう」という考え方。
・『HDV』は「VYM」に近い銘柄選定をしていますが「打倒!VYM」なので「より多くの配当金を出す、財務健全性の高い銘柄ほど、将来に渡って、高い配当金を出し続けるだろう」 という考え方に基づき、
①「VYM」より、組み入れ銘柄を厳選した。
② 配当金額が多い企業ほど、組み入れ比率を高くした。
というETFです。
一方、それによって生じる『HDV』の弱点は、企業の成長性より、配当金額の多さを重視したため、「VYM」に対し、トータル・リターンが劣りやくなってしまった点です。
上位組み入れ10銘柄
75の組み入れ銘柄の内、上位10銘柄で、54.5%と、約半分を構成しています。
「VYM」の市場価値平均型とは異なり、『HDV』は支払配当加重平均型のため、巨大企業の影響をやや受けにくく、市場平均と異なった株価推移になりやすいです。
それは、時にいい方向に働きもしますが、悪い方向に働くこともあるので、クセのあるETFとしての所以になっています。
セクター別構成比率
「エネルギー」「ヘルスケア」「生活必需品」がセクターの上位で、不況時に強いディフェンシブであることが分かります。
一方、景気に敏感な「エネルギー」「情報技術」「金融」も比較的多いです。
直近の1年『HDV』が、市場平均などに対し、パフォーマンスが良かったのは、上述の通り、エネルギーセクターの比率が多いことが要因です。
トータル・リターン
「VOO」『VYM』「HDV」「SPYD」比較
『HDV』は、高配当ETFです。
長期での運用は「VOO(S&P500)」市場平均(インデックス)にトータル・リターンは劣る傾向です。
分配金(配当)利回り
しかし『HDV』は「VOO」はもちろん『妥当!VYM』なので「VYM」にも、配当利回りで負ける訳にはいかないです。
個人的に「HDV」は、今、配当利回りが5%を超えてきたので、割安感はでてきたと感じています。
とは言え、現状、米国のインフレ問題と、FRBの金融政策の方向性から、株価はまだ下がるように思えます。
株価推移(VYM・SPYD・S&P500との比較)
【年初来】
・青の線「HDV」
・黄色の線「VYM」
・水色の線「SPYD」
・カキ色「S&P500」
● 年初来3つの高配当ETFは、全て「S&P500」を上回っていますが、 その中でも「HDV」の下落が最も少ないです。
●『HDV』を含め、 高配当ETFは、基本ディフェンシブ銘柄が多いので、GAFAMなど、グロース株を多く含む、市場時価加重平均型でグロース株の多い「S&P500」は、景気後退に弱いからです。
【直近5年】
※SPYDが設定されて、まだ7年弱なので、10年ではなく、5年の比較です。
・青の線「HDV」
・黄色の線「VYM」
・水色の線「SPYD」
・カキ色「S&P500」
● 直近5年では「S&P500」が『HDV』などの高配当ETFに圧勝しています。
● 配当金を狙う投資や、保有株の値動きを小さく抑えられるのは、高配当ETFの強みですが、超長期で、資産の最大化を目指すのであれば「S&P500(VOO)」のような、インデックス投資の方がいい結果です。
配当金・利回り推移
・配当金は、約10年で約1.75倍と、おおむね右肩上がりで増配しています。
・利回りの推移は、株価の影響もありますが、約3.5%~約4%を比較的、安定して推移しています。
・この高配当株ETFとしての安定感が『HVV』の大きな魅力のひとつです。
『HDV』の購入方法
下落時の一括購入(ナンピン買い)が基本!
下の「VOO(S&P500)」と『HDV』の、過去5年のチャートをご覧ください。
・黄色の線「VOO(S&P500)」
・青色の線『HDV』
『VOO』は、インデックス投資の代表的存在です。
このチャートから、想像できると思いますが『HDV』の株価の値動きは、基本、小さいです。
だからこそ、2020年のコロナショックのようなタイミングで、下落時の一括購入が必要なのです。
仮に、高値掴みをしてしまうと、含み損なまま、何年も待たないといけませんし、高配当株の特性上、永遠に含み損になる可能性も否めません。
インデックス投資で「VOO(S&P500)」を、ドルコスト平均法で買い続けるのは、株価がいい感じのペースで順調に上がり続けるから有効なのです。
高配当株を買うタイミングについては、以下の記事で解説しています。
『米国高配当株の購入タイミングはいつ?』 - 『タクドラたみ』
『HDV』のメリット・デメリット
『HDV』のメリット
① 世界最大の資産運用会社
「ブラックロック社」が運用している安心感
② 厳選された75銘柄で、分散が効いている
③ ETFなので自動的にリバランスしてくれ、手間がかからない
④ 経費率が0.08%と激安
⑤ ファンドの規模が大きく流動性が高い
⑥ 上位組み入れ銘柄が超優良企業
⑦ 株価が比較的安定して右肩上がりで、キャピタルゲイン(値上がり益)が狙える
⑧ おおむね順調に増配している
⑨ 個別株の銘柄分析の時間がない人や、銘柄分析が苦手な人が投資しやすい
⑩ 「SPYD」と相性がよくセットで保有すると、さらなる安定感
(下の記事参照)
『HDV』のデメリット
① 「VOO(S&P500)」に比べ、トータル・リターンが劣る
② 「VOO」や「YYM」に比べ、値上がり益が狙いにくい
③ 株式のETFなので、他のアセット(債券や金など)に比べ値動きが大きい
④ 米国株なので、為替変動のリスクがある
⑤ 高配当株ETFとは言え、減配のリスクがある
⑥ 個別株投資でないため、好まない銘柄が組み入れられることがある
⑦ 配当金に、都度、課税されるので、配当再投資の効率が悪くなる
まとめ
何としても『HDV』は「VYM」に勝ちたかったので、組み入れ銘柄を厳選し、組み入れ比率を工夫し、高配当を実現させた。
しかし 、クセの強さ(組み入れ比率)が仇となり、トータル・リターンでは「YYM」に、劣る結果になってしまった。
とは言え『HDV』と「VYM」言わば、高配当ETFの頂上決戦なので『HDV』は、超優良ETFです!
最後に
・最後まで読んで下さり、本当にありがとうございます。
・米国高配当株ETF『HVD』について、今回の内容はいかかだったでしょうか?
・今後も、定期的に、内容を最新のものにアップデートしながら、リライトし更新する予定です。
・この記事が、投資の参考になれば嬉しいです。
・質問、感想、ご意見、ご要望、そして、批評(酷評歓迎です)などあれば、コメントお願い致します。
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